中高年からの歯科治療
目次
歯が抜けてしまったら
歯を失ったら あわてますよ。
インプラントをしない治療や歯を抜かない治療を当院は目指してまいりました。
当医院は、歯を残す治療を専門にしておりますが、残念ながら歯を失ってご来院いただく患者さんも多いです。
歯を失うことは悲しいことです。体の一部がなくなるからです。
上下24本の歯のうち1本の歯が無くなる。
10本ある手の指の1本が無くなる。
同じ身体の不自由さですね。
身体の機能障害です。
歯を失った後の修復は人工の歯で補い、リハビリして咀嚼回復して社会復帰するものです。
院長も打撲で前歯4本を失い、代わりに人工の歯を入れておりますが、以来今に至るまでの25年以上不具合はありません。
現在、人工歯(咀嚼装置)を作成する方法は三種類あります。



以上の方法がありますが、一概にどれがベストという方法はありません。
神様が創った歯を失い、それを神様から見れば、人間の浅い知恵で作った人工の歯ですので、どれにも弱点がありますし、一つの方法で全て解決できるわけではありません。
当然、医療サイドにも得意不得意の分野があります。
それぞれの特徴を踏まえた上で適切な診断を行い、最も適した方法を選択することにより、どの装置でも十分な咀嚼が可能と思います。
欠損部の修復ご希望の時は、十分な診査診断時間をいただいた上で、きちんとご説明をいたします。咬合診断は有料です。
安易にインプラントが良いとか、義歯ではダメだとか、ブリッジが良いとか、そんなことではなく、それぞれの装置を精密に作成しメインテナンスをしていけば今までの診療経験上20年30年と使えるものです。
ですが、体は変化します。お口の中も変化いたします。その変化に耐えられない人口咀嚼機能物(義歯、ブリッジ、インプラントなど)は咀嚼機能障害を起こしますし、壊れることがあります。
しかし当然、当方の診断結果や治療方針、治療費が受け入れられない患者さんもいらっしゃいます。
歯科医と患者さんでの話し合いで双方納得のいく妥協点を選択し、可能な範囲でどんな場合であっても全力を尽くしております。
どうせもう歳だから、新しい、安い義歯のでも入れよう。
残りの人生を。食事の楽しみを。毎日享受して楽しもう。噛める義歯を入れよう。高価な義歯でも毎日楽しめれば安いものだ。
決心がつかないから、何も入れないでおこう。
それぞれ考えが湧いてくると思います。
残念ながら納得のいく妥協点が見つからなかった場合、もっと専門的な歯科医院をお探しいただいております。
歯周病専門医の観点
岡村歯科医院はなぜ歯周病専門医として、数十年開業してきたかと言いますと、その目的は「患者さんが歯を失わないようにすること」です。
歯を失い、インプラントや入れ歯やブリッジを入れなければならない状況が生じないように、全力で患者さんの歯を守る治療の一つが歯周治療であり、確実な虫歯の治療だからです。
患者さんの口の歯を守るには、虫歯の治療も確実にしなければなりません。
歯周治療、虫歯治療完了後のメインテナンスも必要になります。
患者さんにとって、歯科医療を受ける目的は、歯を失わないような治療であり、確かな技術でしょう。
もとを辿れば歯科医療の目的は、インプラントや義歯やブリッジも必要としない、歯を失わないような確実な治療です。
歯科医療担当者に求められることは、まず、歯周病が治せて虫歯が治せる治療です。
世の中、歯科医過剰と言われながら、なぜこんなに毎日の治療の患者さんの口の中が、歯周病が野放しになり、虫歯が再発し、インプラントが入っているのでしょうか。毎日疑問に思います。
全力で歯周病を治療し、虫歯の治療をしたいと行動に移すとき、日本では健康保険制度があり、容易に安価で治療できますが、再治療のない虫歯治療や、歯周病治療に適していない場合が多々ありますので、治療の時は担当医とよくご相談ください。
歯の保存治療

患者さんは、目が見えなくなってきたから目をくり抜いて義眼にしてくださいと眼科医に言いますか?
歯科ではよく聞かれますね。歯の具合が悪いので、抜いてインプラントにしてくださいと。
歯も体です。歯を抜かない治療を心がけるのが大事なのではないでしょうか。
当院は、歯周病専門医であるとともに、歯の保存の専門医です。
全身への悪影響は、その歯が存在するために、咀嚼が不十分で食事ができない等の問題がない限り、出来るだけ歯は抜かない方針です。
- 抜歯を宣告された根だけ残った歯でも、歯を再生させる治療方法は、状態により各種あります。
- 深い虫歯も痛みが激しくないかぎり、削らずに治療可能なことも多くあります。
- 当然、歯周病で抜歯と言われた歯も残せる可能性があります。
お近くの歯科医院で相談してみてください。
昔から歯科界では、歯を抜くことが、伝統のような感じです。
抜歯してインプラントするのも一つの賢明な選択ですが、歯を抜かないで残す選択もあることの再検討をお忘れないようにお願い致します。
歯も体です。近代医学では、もう手の施しようがない病気の方には、なんとか代替え医療でもいいから長生きさせてあげて、寿命が尽きて自然死に至るまで手当をしてあげています。これが現代医学の現状ではないでしょうか。
歯は体の一部なのに、病気だからと言って簡単に抜いてしまうのでしょうか?
皆様はそれを簡単に受け入れすぎるのではないでしょうか?
最先端歯科治療ではなくても、抜歯しないでなんとか歯を保存させて、
「自然に脱落するまで支えていく」
「自然死するまで歯を口腔内に存在させる」
といった考え方の歯科治療もあります。
そのため、最先端歯科医療が、あなたの歯に望ましいとは思えない時もあります。
各種ホームページを研究しすぎて自分の歯の状態とは全く適応しない、当院が聞いたこともない治療方法を希望する方もおります。
総合的な判断する大学病院や口腔外科や歯科医を聞き回ってください。そして納得するところに落ち着いてください。当院があなたの歯の保存に値する技術の歯科医院でない時も多々あります。その際は、他院を紹介いたします。
インプラントをしない歯の保存治療
抜歯をするのが適切かと思われる歯も保存できる治療の選択肢があることがあります。
インプラントも良い治療方法ですが、下記の治療方法も歯牙の保存には一つの選択肢となることと思います。
- 自家歯牙移植法
機能していない自分の歯を歯の抜けている所に移植します。自分の歯のインプラントの様なものです。※当院では対応しておりません。 - 歯内療法
歯の根の先の顎骨内に大きな膿が溜まっているとき外科処置をしないで処置できます。 - 意図的歯牙再植法
歯の根の尖に大きな膿がたまり歯内療法では治療不可能な状態の一つの治療選択肢です。 - 歯根端切除術
歯根の尖に溜まった膿だけを手術で除去します。 - 歯根分割除去法
歯の根が2本あるいは3本あるとき、病変のある歯根だけを分割切断して、抜歯して歯全体は保存します。
歯の移植とは
ご自分の歯を利用して、できる限り歯を活かす治療

歯の「移植」とは、不要な歯(親知らずなど)を抜歯して、歯の無い部分に穴を開けて植えたり、むし歯などで保存不可能な歯を抜歯し、その部分に植えることにより再度噛めるようにする治療法です。
この治療法は他人の歯では拒絶反応をおこしてしまい成功しません。
ご自身の歯のみでしか行えない治療法で、自家歯牙移植と言います。
自家歯牙移植は天然臓器の移植ですので、体に優しいばかりでなく、自分の歯のようにではなくまさに自分の歯で噛むことができます。
歯を移植する場合のメリットとデメリット
メリット
- 拒絶反応が無いので安全です。
- 治療の範囲は、歯が抜けた部分で済ませることができますので、両側の歯を削ったり、舌触りの悪い金具が歯ぐきを覆うこともありません。
- 傷口が大きい割にほとんど痛みがありません
デメリット
- 移植した歯を暫く固定しておく必要があります。(3週間程度)
- 骨や身体の状態が悪いと施術することができません。
- 移植に適した歯が無いと施術できないことがあります。
- しっかり噛めるようになるまで少し長い期間が必要になります。
治療の流れ
- 移植床(歯を埋入するところ)の準備
- ドナー歯の抜歯(埋入する歯の確保)
- 歯の移植
- 移植歯の固定
(移植した歯が抜けないように隣の歯に繋ぐ) - 傷口の消毒
(翌日以降、傷口がある程度落ち着くまで約3、4日に一度の割合で来院していただきます) - 根の治療
(術後4週間を目処に行っていきます)
歯の移植治療例




歯内療法の治療例
根管内の消毒で感染源の除去が可能な場合に行いますが、根管内のすべての細菌が除去されるわけではありません。

歯根の先端に大きな膿の溜りが黒い影で見えます。

膿の原因となっている根管を消毒して再感染を止めた直後側方加圧充填法をしています。

側方加圧充填法の根管内の状態。院長が作成した歯髄の透明標本です。

根管充填後12か月後外科処置をしないで顎骨内の膿は消毒しています。
歯の再植術の治療例

顎骨内に黒く丸い影があるのは膿です。歯内療法も無理で普通は抜歯の処置になるでしょう。

この歯を一度抜歯して顎骨内の膿を出し、根管内から顎骨に出る感染経路を止めて再び顎骨内に植え込みました。

歯根の周囲に健康な骨が出来上がっています。